皆さんは秋田県の大曲で毎年8月の最終土曜日に開催されている、花火師による花火大会をご覧になったことがありますか?
私は幸いにも秋田に友人が居ますので、毎年声を掛けて貰らって、行ける年には行かせて頂いており、今年もお伺いさせていただきました。
今年は、異常気象の為か東北地方は雨ばかりで、大会が開催される雄物川が7月に氾濫し、やっと水が引けたと思ったら、また大会前々日まで大雨が降り、地盤が緩んでいた所は土砂崩れが起きて道路が閉鎖になったり、会場に準備していた打ち上げ道具が流されたりしていましたが、実行委員の方々の徹夜の作業のお蔭で当日に開催決定の連絡が入りました。また大会直前に、日本各地で起きている震災に追悼の意味を込められ、10発の大輪の花火が上がり、会場のみんなから自然と拍手が起こり、今年も本当に素晴らしい花火を見させていただきました。
大会の前日に友人が岩手県に連れて行ってくれました。本州最東端にある宮古市に浄土ヶ浜という所がありまして、「さながら極楽浄土のごとし」と名前が付けられたと言われる様に本当にきれいな場所でした。が、やはり東北の震災の爪痕がいたるところに残されていました。地元の方々が後世に伝えようと言う事で、三陸復興国立公園という物も出来ていました。
友人が、震災の語り部の話を聞けるところがあると言って、田野畑村という所に連れて行ってくれました。羅賀と言う小さな港町でしたが、半数以上の民家が流されてしまったそうです。
語り部の方の話によりますと「この羅賀という所は、明治時代にも津波が起きました。その時に打ち上げられた20トンもの大きな石を津波石としてそのままの場所に残し、震災の爪痕を残していたにも関わらず、津波石より低い所に多くの民家を作ってしまいました。今回の津波で津波石より低い場所に建てられた新しい(と言っても明治以降の話ですが)家が、みんな流されてしまいました。羅賀の岬に羅賀莊と言う旅館があります。その旅館は岩の上に基礎を置き、過去の教訓を生かし5階に宴会場として大きな場所を作りました。今回の津波では海のすぐそばに建っていたにも関わらず羅賀莊は無事でしたし、津波の一報の時点で、バスで到着したお客さんはそのまま山の上の避難所まで移動させました。従業員は全員以前の津波到達地点より上に設けられた5階の宴会場に避難して全員が無事でした。教訓を生かせた者と生かせなかった者の差が出てしまった事。だからしっかりと伝えて行かないといけないと思います。」と話をされました。
津波が来る前に、引き波と言う現象が起きるそうです。羅賀の港も今まで見たことも無い地形が見えるほど水が引いたそうです。その後で襲ってきた波。いきなり壁が出来たように見えたとおっしゃっていました。
私達の住む大阪には、海抜数メートルという所が多数あります。ですが、海は見えません。
自然の現象も見ることなく津波に飲み込まれるのでしょう。
高台がありますか?
近くのショッピングセンターですか?
何人の人が一斉に集まれるのでしょうか?
地震で道路が塞がって、どこに逃げればいいのでしょうか?
阪神淡路の震災を経験している私達なのに、全く備えが出来ていないように思います。
「南海トラフ必ず来ますよ。ちゃんと備えてくださいね。」語り部の方にお願いされました。
私自身、もう一度見直して見たいと思いました。
毎月、職員達が交代でつれづれなるままに綴っております。