齋藤 みつ恵

 節分の季節がやってまいりました。今年の冬はとても暖かく、冬がこないまま春を迎えるような感覚です。私は寒さが苦手なので個人的には過ごしやすかったのですが、やはり春夏秋冬があってこその日本ですので、ちゃんと冬は冬らしく寒くなるほうがいいなと思いました。

みなさんのご家庭では節分にどのようなことをされるのでしょうか。私の家では、焼いた鰯に柊の木を刺して玄関に飾り、大豆を炒って歳の数だけ食べ(いつもこっそりたくさん食べていましたが)家族全員で撒いていました。子供のころ、節分は楽しみな行事の一つでした。鰯の意味も刺さっている枝が何なのかもわかっていませんでしたが、家族全員でする豆まきが楽しくてしょうがなかったことを今でも鮮明に覚えています。ちなみに、私の地元では「恵方巻」という風習はありませんでした。私は広島の出身なのですが、私の記憶では恵方巻がスーパーなどで売られるようになったのは、私が中学生くらいからだったと思います。大阪で暮らすようになり、関西では昔から節分の日には恵方巻を食べていたと聞いて、土地によって全然違うものだなと驚きました。今では広島でも恵方巻が当たり前になりつつあるようです。

進学を機に大阪へ出てきて、気が付けば10年が経ちました。一人暮らしをしていると、良くないとは思いつつも、ついいろいろなことを省略してしまいます。大阪に出てきて初めての節分の日、一人分の豆を炒るのもなぁと思い、できあがっている節分用の豆を購入しました。それで一人で豆まきをしたのですが、あとの掃除を思うとたくさん撒けず、全部で15粒くらい撒いた後、踏まないように拾い集めました(笑)。


豆を拾いながら、子供のころは節分の次の日学校から帰ると家に豆は落ちていなかったけれど、掃除が大変だっただろうなぁとしみじみ思いました。

 そもそも節分の日に豆を撒くのは、季節の変わり目には邪気(鬼)が生じると考えられており、それを追い払う悪霊祓いのためといわれています。鬼に豆をぶつけることによって、邪気を追い払い、一年の無病息災を願うという意味合いもあるそうです。

 ここ数年は、節分に豆を撒くこともなく、コンビニやスーパーで買った豆を食べるだけになっています。今年は七草粥も食べずじまいで、年々一人暮らしに手を抜くようになっているというのが正直なところです。けれど、日本の行事にはひとつひとつ由来や理由があり、そして私はそんな日本の行事はとても大切なものだと思っています。子供のころ知らず知らずのうちに親が教えてくれていたことを、大人になって忘れてしまわぬよう、一人でもちゃんとしていきたいものです。とりあえず今年の節分は、掃除を気にするのはやめにして、昔のように家中に豆まきをしようと思います。とはいいつつ週末には掃除機を片手に、少し後悔するかもしれません(笑)。