長谷川 晋也
皆さま、新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
新年を迎えて、今年はどのような年にしようかと、お正月を過ごされた方も多いのではないでしょうか。2016年は、リオデジャネイロオリンピックの開催、北海道新幹線の開業、そして何といっても私たちにとって最大の関心事であるマイナンバー制度の利用開始と盛り沢山の年になる予感がいたします。
そんな2016年、もう一つ新たにスタートする制度として、今夏の参議院選挙から取組まれる未成年者(満18歳以上)に対する参政権の交付があります。選挙制度は、時代とともに少しずつ変化していることは皆さまご承知のこととは思いますが、今回改正となる年齢の制限の変更は、なんと70年ぶりの改正だそうです。そこで、今回は少しこの改正についてご紹介したいと思います。
日本で初めての選挙が行なわれたのは、大日本帝国憲法発布の翌年1890年(明治23年)の衆議院議員選挙のときです。この選挙は、投票できる人が直接国税を15円以上おさめている満25歳以上の男性であり、これは全人口の1%であり、今では考えられないくらいごく僅かなお金持ちのみしか投票できないというものでした。その後、1925年(大正14年)に25歳以上のすべての男性が選挙権を持つようになりました(男子による普通選挙の実現)。女性が参政権を獲得したのは、戦後になった1945年(昭和20年)であり、この時に日本国民である満20歳以上の男女に参政権が与えられ、これが現在も続いているのです。
そして、2016年(平成28年)夏の参議院選挙より年齢が満18歳以上に引き下げられることになりました。これにより有権者の数の増はおよそ240万人になり、有権者数は全人口の83%程度になる見込みです。(世界的に見ると18歳以上の選挙権というのはおおよそ9割の国が行っているようです。)
では、今回の改正に至った背景はどこにあったのでしょうか。それは、憲法改正を国民に問う国民投票法の投票年齢を18歳以上としたことがあるようです。また、若者の投票離れが進行しており前回の衆議院議員選挙の20代の投票率は32%にまで落ち込んでいることもあり、若いうちから政治に意識を持ってもらおうという狙いもあるようです。家族といっしょに選挙に出かけたり、演説に耳を傾けたり、家庭内で政治の話を話題としたりと若いうちから政治の意識をもつことでの変化が期待できるのではないでしょうか。
しかし、その反面、選挙権の年齢引き下げにより、お酒やタバコ、ギャンブルなどは引き下げられないの?という問題や、民法上は満20歳以上が成人とみなされているけど、選挙権が与えられるなら18歳以上を成人とみなすべきでは?という意見も出されているようです。個人的には、自立精神を育てるため18歳に引き下げ、権利を与えそれに伴う義務を履行していくことが良いと思います。
新たな制度がスタートする2016年、様々な課題が出てくることとは思いますが、一つ一つ克服し素晴らしい一年になるよう願っております。また、本年が皆さまにとりまして、実り多い素晴らしい年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。