西野 信宏
2月4日の立春も過ぎ、次第に暖かい日も増えてきました。寒暖の差が激しいせいか、色々な所で風邪が流行っていると聞きます。これから確定申告の時期になり、税理士事務所にとって繁忙期に入りますので、体調を崩さないようにがんばりたいと思います。
この確定申告ですが、大きく影響すると言われているマイナンバー制度が今年の1月から始まりました。皆さまのご自宅にはもう届きましたか?私は年内に受け取る事ができず、2月に入ってからようやく市役所に取りに行くことができましたが、他にも何人もマイナンバーを取りに来ていましたので、国民全員に浸透するにはもう少し時間がかかるのかなと思います。
さて、そんなマイナンバーですが、どのように今後の確定申告に影響するかをご説明したいと思います。
まず、マイナンバー制度の導入により、税務署・都道府県・市区町村などで情報が連携される事になります。これにより、会社が給料や報酬を誰にいくら支払ったかという情報が今まで以上に照合しやすくなります。(会社は支払った給料や報酬の金額のうち一定の物については法定調書という形で国や市に報告する義務があり、今後はそこにマイナンバーを記載して提出するため、個人の特定が今まで以上にしやすくなります。)
そのため確定申告をしなければいけない人が無申告だった場合や、配偶者控除や扶養控除などの所得要件を満たしていないのに扶養者として申告している場合なども、マイナンバーを使っての照合によりすぐにわかるようになります
ので、これまで以上に正確な申告を行わなければいけません。
一方で、マイナンバーによって副業が分かるという話もよく聞きますが、マイナンバーにより、直接的に会社に従業員の副業が分かると言う事はありません。では、なぜ分かるのかというと住民税によって分かるケースがあります。マイナンバーにより、無申告であった人がちゃんと確定申告をするようになった場合には、副業収入を含めた住民税が会社に通知されるため、その会社からの給与金額に比べて住民税が高い事などから、間接的に副業が会社に分かるというケースが考えられます。(住民税の納税方法については自分で納税する普通徴収と、会社を通して納税する特別徴収の2つの方法があり、一定の場合には納める住民税全額が特別徴収とならない場合もあります。)
また、社会保険についてもマイナンバーが使用される事が予定されているため、社会保険の未加入などについても今後は厳しく指摘されると思います。
このように書くとマイナンバー制度は煩わしいものに思えてしまいますが、情報が共有される事によって、引っ越しやライフスタイルの変化に伴う行政手続きが簡素化される事などは、私たちにとっても大きなメリットになります。
私個人としては、このような共通番号制度は、アメリカの社会保障番号のように、世界の先進国での前例がたくさんある事を考えると、日本でも実施される事は仕方がないと思いますが、日本年金機構の情報漏洩事件のような事がないよう、取り扱いは慎重に行ってほしいと願っています。