長谷川 晋也


空が深く澄み渡り、さわやかな季節となりましたが、皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。
私は新米が出回る季節になり、スーパーで初物さんまを購入し食すことを、楽しみにしております。

 さて、そんな作物が実る季節になって参りましたが、数か月前を振り返りますと大雨・台風・地震などの自然災害が多発し、農作物等への甚大な被害が連日のようにニュース等で報道されていたことを思いだします。
このような報道を見るたび、また野菜の値段が上がるのか…と思ったり、自宅近辺が洪水になったらどうなるのか…と考えたりしてしまいます。とは言え、幸い私自身、大きな災害には出会った事がないため、どこか対岸の火事のように感じているのも事実ではあります。そこで、今回の記事を記載するに当たって、自分自身の防災用品の準備を検討するとともに、クライアント様が防災に取り組まれた際の税務処理について少しふれたいと思います。

 国税庁ホームページには【非常用食料品の取扱い】についての質疑応答事例が掲載されています。それによれば、非常用の食料品に関しては「備蓄時に事業供用があったものとして、その時の損金の額(消耗品費)に算入して差し支えありません。」と記載しています。
その理由は、

@ 食料品は繰り返し使用するものではなく、消耗品としての特性を持つものであること

A その効果が長期間に及ぶものであるとしても、食料品は減価償却資産(法人税法施行令第13条)又は繰延資産(法人税法施行令第14条)に含まれないこと

B 仮に当該食品が法人税法施行令第10条第6号((棚卸資産の範囲))に掲げる「消耗品で貯蔵中のもの」であるとしても、災害時用の非常食は備蓄することをもって事業の用に供したと認められること

C 類似物品として消火器の中味(粉末又は消火液)は取替え時の損金として取り扱っていること


以上4点があがっております。
 また、食品以外のヘルメット・非常用懐中電灯等の防災用品に関しましては、1個又は1組ごとの金額が僅少(10万円未満)である場合には少額の減価償却資産(消耗品)に該当し、一時に全額を損金にすることが可能となります。(10万円以上である場合には減価償却資産に該当。)
上記防災用品を消耗品と考えた場合、原則は使用した時、又は、事業の用に供した時に損金に算入することになります。したがって、未使用物については資産に計上する必要性が生じることになるのです。
しかし、防災用品については購入して会社に備え付けた時点で、使用又は消費したと考えるため、購入時点で損金とすることが可能になるのです。つまり、実際の使用時ではなく、購入して備蓄した時点で損金に算入することができる、ということです。
以上のような事から、概ね非常用備蓄用品については一時の損金となります。

 幸い大阪は阪神大震災以降、大きな災害に見舞われていません。しかし、数か月前を振り返りますと台風が上陸しないと言われていた北海道に3つもの台風が上陸し、さらに、北から南に下ってUターンする台風も発生したことなどを鑑みると、いつ身近な場所で自然災害に遭遇するか本当にわからないと思います。
家族防衛・企業防衛・従業員防衛・地域防衛のためにも再度、非常時対策を考えてみてはいかがでしょうか。