8月10日に消費税増税法が成立しました。
ニュースなどでも、よく取り上げられていますので、皆様もよくご存じかと思いますが、2014年4月から8%、2015年10月から10%になります。
みずほ総合研究所が総務省の家計調査をもとに試算したところ、所得が低いほど家計に影響し、8%に増加した際の消費税負担額は年収300万円未満で14万2763円の負担になり、年収が増えるほど負担額も増えるという試算も発表されています。
1997年に3%から5%に上がった時には、私はまだ学生でしたので、影響といってもたいした事はありませんでしたが、今回の増税については、さすがに高い買い物は今のうちにしたほうがよいかなと考えてしまいます。
さて、消費税の増税が話題になると、よく議論されますが、日本の消費税は外国の消費税に比べて低いのでしょうか?高いのでしょうか?

欧米諸国の税率は20%前後の国が多く、日本の5%に比べると大きな差があります、だから日本の消費税率も増額してもしかたがないという話を増税賛成派の意見としてよく聞きます。これに加えて、欧州では「軽減税率」制度を導入している国が多くあります。「軽減税率」は食料品・新聞などの生活に必要なものには低い税率を適用しており、所得が低い人への影響が少なくなるというものです。日本の消費税は一律5%なので、税率だけで比較する事には少し無理があります。そこで「税収入全体に占める消費税収入の割合」を比較する方法があります。
この「国税収入全体に占める消費税収入の割合」を見ると日本は21.6%になります。
ちなみにイギリスなどは税率17.5%(平成15年当時)のとき、税収入全体に占める消費税収入の割合は23.7%(平成15年度実績額)となり日本とそれほど変わりません。これを見ると現状の5%でも税収入全体に占める消費税の割合は欧米と比較しても決して低くないと言えます。
一般的に消費税は「消費」する事に対して課される税金であり、所得が高い人も、低い人も「消費」に対する税負担割合は同額です。そのため所得が低い人のほうが、総所得に対する負担割合が多くなってしまう「逆進性」という問題が生じます。上記の「軽減税率」はこの逆進性への対策のため、低所得者に対する負担を減らすために行われている制度になります。
ただし、この軽減税率についても、
・軽減税率の適用範囲をどのように決定するのか?
・軽減税率を採用するから消費税率自体が上がってしまうのでは?
・また、所得が高い人も食料支出をするので、逆進性といった状況は変わらないのではないのか?
といった点も指摘されています。
日本では、この軽減税率の代わりに、2014年4月に税率を8%に引き上げる時には、お金を配る「簡素な給付措置」が予定されています。10%に上げてからは、低所得者に対して、現金の給付と所得税減税を組みあわせた「給付つき税額控除」が考えられていますが、具体的な内容はまだ不明です。

消費税が増税していく事については、仕方がない事だと個人的には考えていますが、この逆進性に対する対策や低所得者への対策はしっかりしてほしいと思います。

以上
西野 信宏