西野 信宏

2018年3月にイギリスの物理学者であるスティーヴン・ホーキング博士が亡くなりました。皆さまは、ホーキング博士のことをご存知でしょうか?
ホーキング博士は、ブラックホールなどの宇宙の謎について研究を行った物理学者で、宇宙に関する理論を数多く発表し、現代宇宙物理学に大きな功績を遺しました。その輝かしい経歴の一方で、身体的には、学生の頃から筋委縮性側索硬化症(ALS)を患っており、自分で話をすることも出来ない状態になりながらも、「車いすの物理学者」として、数多くの論文を発表した人物です。

私は宇宙の話に興味があり、BS放送の宇宙特集などをよく見ていましたので、ホーキング博士のことは知っていましたが、博士の理論は難しすぎてよくわかりませんでした。
そんなホーキング博士ですが、宇宙以外にも色々な事に対してコメントをしており、晩年は、それらのコメントが話題になる事もよくありました。その中で、AI(人工知能)に潜む危険性についても話をしています。「AIは独自の意思を持ち始める可能性がある」「AIは人類にとって最悪、もしくは最良の結果をもたらす可能性がある」といった内容です。

現在では、AIは様々な場所で活躍していますが、このホーキング博士の警鐘を象徴するような出来事がありました。米グーグル傘下のディープマインドが開発した囲碁AIの「AlphaGo」が世界のトップ棋士に初めて勝利したのです。囲碁は、将棋やチェスよりも選択肢が桁違いに多いとされ、人間を超える囲碁AIが登場するにはまだまだ時間がかかると考えられていましたが、この「AlphaGo」はその予想を覆してしまったのです。

この囲碁AIが凄いとされている理由は、「ディープラーニング」と呼ばれている成長方法です。「AlphaGo」は、最初に過去の膨大な棋譜を学習、インプットさせることから始まり、その後、自己対局を繰り返す事により、自動的にAI自身で機能を強化する事ができるようなっているのです。この技術により、体験した事のない新しい一手を指されたとしても、人間と同じように考え、解決することが可能となりました。このような出来事を見ていると、ホーキング博士がコメントしている事も現実味をおびてきそうです。

AIの進化は私たちの生活を確実に便利な物にしています。例えば、車の自動運転などです。現在では、まだ人間の運転をサポートする程度ですが、将来には完全な自動運転も実現されそうです。またAIは、我々中小企業にも大きな影響を与えると考えられています。  
中小企業の大きな問題は、深刻な人手不足とされていますが、AIの発展により、今まで人間にしか出来ないとされていた業務を、AIが行う事により、中小企業の人手不足を補完する事が出来ると考えられているためです。
 
ホーキング博士が考えるような、恐ろしい未来が起こる可能性もゼロではありませんが、私個人としては、AIが進化する事で、生活はもっと便利になり、輝かしい未来がやってくると信じています。ホーキング博士を思い出しながら、今後のAIの発展を見守っていきたいと思います。