まず、前回で日銀の役割のひとつでオペレーションの話を軽く取り上げました。今日はその続きで 国債(債券について)です。最後は利回りの話で終わります。
日本銀行が金利の調整で公開市場操作(オペレーション)を行うとは
日本銀行が銀行に国債、有価証券を売る (売りオペレーション)
市場に資金がいきわたり、コール市場から資金を調達する必要がなくなるため、金利が下がるといわれています。
日本銀行が銀行から国債、有価証券を買う (買いオペレーション)
市場から資金を回収することにより、市場に資金が不足して、コール市場では金利が少しでも上がっても借りたいと思うために金利が上がるといわれています。このように金融機関が国債を売買しています。国債は、政府が発行します。
財務省の資料によると
平成9年3月末現在 約248兆円
平成18年3月末現在 約671兆円 (この9年間で423兆円増加しました。)
ちなみに1年間の租税及び印紙収入約45兆円(平成18年度予算案)
平成15年3月に「個人向け国債変動10年」がスタートしました。販売対象が個人に限定されています。特徴は「10年満期の最低クーポン保証付変動金利型国債」
平成18年1月には「個人向け国債 固定5年」の募集が始まりました。その特徴は「5年満期の最低クーポン保証付固定金利型国債」です。年4回の発行です。(1月、4月、7月、10月)個人のみが購入できます。平成22年加筆 3年固定の個人向け国債が平成22年6月から販売
国債も個人で購入することが出来ましたが、なぜこれほどの人気があるか?(個人向け国債の変動10年型をメインに話を勧めます)
第1に金利 従来の長期国債は固定金利であり、発行時の利率が償還まで変わらないのに対して、個人向け国債は半年に1度の頻度で、その時点の市場金利を参考にして適用利率が見直されます。
個人向け金利=10年固定利付国債の入札結果により算出される基準金利−0.80%
利率に関しても最低金利保証があり、0.05%の金利が保証されています。
平成18年10月に発行する個人向け国債(第16回債)の初回適用利率が決定しました。最初半年の適用利率を年0.92%にすると発表 (基準金利1.72%)
第2に元本保証 固定金利型の長期国債も償還まで保有すれば元本保証されます。ただ途中売却する際は、そのときに市場で形成されている債券価格で売却になります。(購入時よりも金利が高いと、売却損を被るおそれが出てきます。3回目で解説)個人向け国債は、原則として購入から1年経過時点で財務省が額面金額で買い取ってくれます。ただし、解約に関しては直近2回分の税引き前の利子が差し引かれます。
額面金額+経過利子相当額−直前2回分の利子(税引前)相当額
第3に最低購入金額 従来の国債は、金融機関が主に購入していました。一般の方でも銀行や郵便局で購入できます。従来の国債は、額面金額が5万円、個人国債の額面金額は1万円。より少額資金での購入が可能です。
次回の金利を説明するにあたって、国債は、従来からある国債と個人向け国債があり、途中売却に関して、国債は市場で取引されており、個人向け国債は財務省が額面金額で買い取ってくれます。市場では取引されていません。国債は市場で債券価格が決まります。
上記で述べたように、公開市場操作で国債等の売買を行います。そのときに短期の売買のため、銀行は債券の評価を時価評価で表します。銀行の決算書では、その他の業務利益の中の国債等債券関係損益で表示されます。
コラム:(理解の参考に)
前回の文章で公定歩合と書きましたが、現在ではこの言葉を使わなくなりました。日本銀行は、「基準割引率および基準貸付利率」に名称変更しました。これは1994年に金利自由化になり、各種の金利が「公定歩合」に直接的に連動しなくなったためです。現在の日本銀行の政策金利は、無担保コールレートであり、「公定歩合」には政策金利としての意味合いはありません。こうした点を踏まえて、「基準割引率および基準貸付利率」という用語を使用することとしました。(2006年8月11日 HPより抜粋)
過去において預金金利がすごい商品は、郵便局の定額貯金でした。
平成2年9月から平成3年7月までの10年定期 6.33%
半年複利で10年ものですと100万円預けて、約169万円(税引き後)になります。
銀行の決算書 (一般企業と違うところ)
貸借対照表は現金預け金が資産の部にあります。(「現金」と「預け金」に分かれています。預け金は日銀の当座預金となります。)預金は負債の部にあります。(一般の方から預った現金、当座預金等)
損益計算書では業務粗利益 (一般企業で言えば、売上粗利益に相当するもの)を分類すると
「資金利益」(貸出金、預金、有価証券などの利息収支等)
「役務取引等利益」(手数料収支等)
「特定取引利益」(特定取引勘定設置行のみ。トレーディング勘定におけるデリバティブ取引等による売買損益および期末の評価損益)
「その他業務利益」(債券等関係損益、外国為替関係損益等)
参考:日銀、財務省のホームページ
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平成18年 『「金利が上がれば国債が下がる」とは 第2回』
文責 CFP 望月貴之
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