神崎 裕子
澄んだ青空も見え始め、少しずつ秋へと季節の代わりを感じるこの頃、鈴虫の鳴き声も聞こえ心地よい季節になってきました。
数か月前、食事時に何気なく見ていたテレビ番組で、俳優の香川照之さんがカマキリの衣装を身に着け活き活きと楽しそうに、それでいて真剣にお話をされ一視聴の私も楽しいひと時を過ごしました。私が幼い頃はとても身近に蟻、バッタやカマキリ、カナブン、蜘蛛、ヤモリ、ムカデ、たまにアオダイショウetc、が出てきて共存共栄していました。もちろん今もいるのでしょうが、地球温暖化や自然破壊が進む中、昔ほどいないかも知れないと、ふと思いました。
後日、香川さんのスペシャル番組で「昆虫カタストロフィ」という課題提起があり、とてもわかりやすいVTRを織り混ぜながらの内容に引き込まれていきました。
1.昆虫(蜜蜂・蝶・ハエ・蛾・アブ等)が花から花へと花粉を運んで実を実らせるが、地球上の植物の約80%は昆虫が花粉を運ばないと実も種も出来ない、家畜が食べる牧草も昆虫が花粉を運ぶことに頼っているので実らなくなり、多くの野菜や果物、乳製品が食卓から消える可能性がある。昆虫は食物連鎖の一番下にいるので土台が崩れる。また、昆虫がいなくなると小動物を食べていた肉食動物も絶滅する。私たちが着る洋服・綿・麻・シルク・羊毛・革製品が着られなくなり、化学繊維に限られてしまう。
2.伝染病や感染症の流行の原因として、昆虫が枯れ木や落ち葉・動物のフン・死骸などを食べ、分解を促し土に反す役割がある。それが失われると、分解が出来ず病原菌が大繁殖する。昆虫がいない世界になると人間社会が大混乱に陥ってしまう。
今、危機にさらされている昆虫達。しかし、昆虫は地球上に誕生してからおよそ4億年の歴史をもち、恐竜等が絶滅した大ピンチを何度もくぐり抜けてきた。中には環境の変化に適応するすさまじい生命力と能力を持ち、命を繋ぐ可能性もある昆虫。そのたくましい昆虫自体が減少しているという事実にショックを受けました。そんなに減っていたのかと。。。
昆虫は無防備だから、最初に色んな悪い影響を受け、人間の強烈なものを受けていなくなっている。自然のサイクルの大切で重要な役割の担い手であり、この世のすべての生物を回す『回し屋』でもある、かけがえのない存在だったのだと気づきました。
昆虫が絶滅したら人類滅亡にも繋がるのか…。昆虫カタストロフィは人類のカタストロフィに繋がる???
「今生きている自分の時代が良ければ」とは思えず、子や孫の後世の人々も安心して暮らせるのか、身近な自然と向き合いながら、私たち人間だけがこの地球に生きているわけではないことを、改めて実感していく機会を持たせてもらえました。