今回は平成23年度税制改正で、新たに創立されました「雇用促進税制」をご紹介したいと思います。
これは簡単に言うと「人を雇えば、税額控除が受けられます」という制度で、具体的には「平成23年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する各事業年度(個人事業主の場合には、平成24年1月1日から平成26年12月31日までの各暦年)において、一定の要件を全て満たすときは、雇用者増加数に20万円を乗じた金額を特別控除できる」というものです。
雇用促進が目的のため、手続きは管轄のハローワークで行います。適用を受けようとする事業年度開始後2月以内に雇用促進計画を提出します。その後、その事業年度終了時に要件を満たしていた場合には、ハローワークでの確認を受け、税額控除が適用できることになります。なお具体的な要件は以下の通りです。
◆青色申告書を提出する事業主であること
◆適用年度とその前事業年度に、事業主都合による離職者がいないこと
◆適用年度に雇用者(雇用保険一般被保険者)の数を2人以上(中小企業以外の場合には5人以上)かつ、
10%以上増加させていること。
◆適用年度における給与支給額が比較給与等支給額以上であること
※比較給与等支給額⇒前期の給与支給額+(前期の給与等の支給額×雇用増加割合×30%)
※雇用増加割合⇒(当期末の雇用者数−前期末の雇用者数)/前期末の雇用者数
◆風俗営業等を営む事業主ではないこと
このように書くと難しく感じますが、ポイントは「前年度よりも従業員が2人以上増加しているか?」という事です。増加している場合には、この税額控除を受けられる可能性があります。
また、この制度は、補助金の支給等ではなく「税額控除」になります。どういう事かと言いますと、会社に法人税の納付税額が発生した場合に、その納付税額から税額控除額を差し引く事が出来るというものです。ただし、この控除金額には上限があり、法人税額の20%(中小企業以外は10%)までとなります。つまり、法人税納付額が200万円以上でなければ40万円(中小企業の場合には2人以上増加が要件であるため、最低控除額が40万円となります。) 全てを使い切る事ができません。法人税が発生しない法人の場合は、メリットを感じないかもしれませんが、事業拡大や新規事業立ち上げの予定があり、雇用が増加する見込みがある場合には、ぜひ1度ご検討ください。
なお、この規定は、計画表を提出したが雇用出来なかったという場合にも罰則はありませんので、雇用の可能性がある場合には、とりあえず計画表を出しておくのもよいかもしれません。詳細につきましては、各担当者までご相談ください。
西野 信宏
毎月、職員達が交代でつれづれなるままに綴っております。