長谷川晋也


 アベノミクスの効果か、アメリカ経済の上向き観測によるNYダウの史上最高値更新の影響か、昨今の日経平均株価は民主党政権時から比べるとおおよそ40%の上昇となりました。こうした影響もあり、少し前までは預金一辺倒だった個人資産を少しは株式投資や投資信託に充ててみようかなと思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか?そのような方には朗報です。
先月に発表された、税制大綱に「少額投資非課税制度」、俗に言う日本版ISAという規定がついに施行される事となりそうです。

今年度の改正の目玉は皆さんご存知の相続税の増税で、どうしても新聞等ではそちらが報道されていることから、この規定はまだ世間にはなじみがなく、なにそれと思われた方も多いと思います。そこで今回はこの日本版ISAを少し紹介したいと思います。

 そもそも「ISA」とは、元々はイギリスで行われた「若者から老人までのあらゆる世代、低所得者まで貯蓄や投資を後押しする」という目的のための税制優遇制度で、この制度を利用するために必要な個人貯蓄口座「Individual Saving Accounting」が語源です。この制度を日本特有にしたものが日本版ISAです。では、どのような場合に税金がかからないかを5W1Hの形式で説明したいと思います。

@ Who(誰が):20歳以上の国民全員が
A What(何を):上場株式ならびに株式投資信託の配当所得・譲渡所得を
B When(いつ):2014年から2023年まで【投資(買って)から5年間の投資リターン(例:配当)が非課税になります。】
C Where(どこで):金融機関で【ISA口座の開設が必要です。】
D Why(なぜ):「貯蓄から投資」の促進、ならびに譲渡益軽減税率撤廃(10%⇒20%)に代わる投資家向け優遇制度を取り込みたいという金融庁の目論見のため
E How much(いくら):毎年100万円、最大500万円まで

以上の要件を満たせば、配当や株式譲渡により生じた利益に対する所得税及び住民税が非課税となります。
では、どのように活用するのが一番良いのか。

結論から言いますと、定期預金をする感覚で長期保有に適した長期投資向けの株や投資信託を購入されるのがよいと思います。何故なら、短期で売買を繰り返すと、一瞬で非課税枠を使い切ってしまうことが考えられるからです。(非課税枠の再利用はできない仕組みです。)
むろん、確定した法案ではないですし、制度的にまだまだ成熟したものではないので、今後制度が変更していく可能性は高いと思います。その最たるものとしては、現在2014〜23年の10年間までの時限措置となっている期間が延長される可能性があるでしょうし、永続する恒久化制度にしようという議論もあります。また、現在のISA制度は債券や預金は対象外ですが、制度の対象商品を増やそうという議論が盛り上がる可能性もあります。

 このようにこの制度はドンドン変化していくと思います。それが必ずしも私たち投資家にとって望ましいものとは限らないですが…それでも賢い投資としてはこの非課税制度を使わない手はありません。
多少面倒な事もありますが、制度をよく理解して、私自身はこの制度を利用してみようと思います。皆さまも是非、日本版ISAを利用してみてはいかがでしょうか。