8月に入り、いよいよ夏本番。私にとってこの季節は、毎年地元の夏祭り"だんじり曳行"と言うメイン行事がやってきます。
鳴り物(お囃子)の練習が始まり、町内に提灯のあかりが灯り、自然と気持ちが高揚し始めます。こうした夏祭りは大小様々な形で皆様の地元でも行われているのではないでしょうか?そんな数ある祭りの中から今回は、大阪の三大夏祭りを少し紹介したいと思います。
大阪の夏は、江戸時代より"愛染さんに始まり、天神さんで中をとり、住吉さんで締める"と言われています。その言葉のとおり、「愛染祭」「天神祭」「住吉祭」は、大阪三大祭(夏祭)として大阪の人々に広く愛され、親しまれているお祭りです。
まず先陣をきる「愛染祭」は縁結びの神様としても知られる大阪の愛染堂勝鬘院(愛染さん)の夏祭で、浴衣姿の愛染娘たちをのせた宝恵駕籠(ほえかご)のパレードが人気です。宝恵駕籠(ほえかご)は江戸時代にも芸者さんたちをのせていて、それを現在に再現しています。祭の期間中は連日、祭囃子(まつりばやし)が鳴り響き、さまざまな芸能を見ることができます。
パレードなどで知られる愛染祭ですが、実は6世紀に聖徳太子が始めた日本最古の夏祭りとして知られています。伝統的に「夏越の大祭」として現在も大法要が行われています。
次に「天神祭」ですが、日本三大祭にも歌われる大阪人なら誰でも知る大阪天満宮の夏祭りです。1000年以上の歴史を感じさせる厳かな神事から、人々が熱狂する華やかな行事まで見どころが満載です。なかでも3000人を超える大人数で陸路を行幸する「陸渡御」や、川を100隻あまりの船で進む「船渡御」、天神橋筋商店街を巡行する「ギャルみこし」、そして奉納花火が人気です。
天神祭の起源は天暦年間(10世紀)。天満宮の社頭の浜から神鉾(かみほこ)を流す神事が始まりとされています。それはやがて船の神事として規模が大きくなっていき、江戸時代には井原西鶴や近松門左衛門なども見学したと伝えられています。
そして大阪三大祭の最後を締めるのは、住吉大社の「住吉祭」です。別名「おはらい」と呼ばれ、大阪中をお清めする祭です。見どころは、国指定重要無形民俗文化財となっている「夏越祓神事」。茅の輪をくぐり御祓いします。そして神輿渡御は街道を進み、大和川へ。川の中を練り回り、「べーら」の掛け声が響きわたる中、祭のクライマックスを迎えます。
住吉大社の由来は神功皇后までさかのぼり、1800年以上の歴史があります。その祭礼は、最初の記録でも天平年間(8世紀)には夏祭の記述が見られます。さらに文永年間(13世紀)には神輿渡御、元禄年間(17世紀)には夏越祓神事の記述が見られ、早い頃から現在に至る行事の原型が行われていたようです。
この記事を読まれているときには、残念ながら今年の大阪三大祭りは終わっていますが、祭りはまた来年もやってきます。こうした知識を頭の片隅において来年の祭りを見に行かれてはいかがでしょうか?
毎月、職員達が交代でつれづれなるままに綴っております。