中島 直子
盛暑の候、皆様におかれましては益々ご清栄のことと心よりお慶び申し上げます。
毎日、テレビでロシア・ウクライナ情勢の胸を痛めるニュースの報道ばかりですが、先日、ふと世界の料理番組に目が留まりました。世界3大料理の一つトルコ料理です。フランス料理・中国料理は有名ですが、なぜトルコ料理?と思われる方は多いと思います。私もトルコに行くまではそう思っていました。
義兄一家がトルコに住んでいるので、高校生の息子が2歳くらいの時に3回ほど訪れたことがあります。テロの影響を受けやすい国のイメージですが、訪れた時も街を歩いていたら、「あそこで何日か前に爆発があったんだよ」と義兄が日常のことのように言っていたのを覚えています。イスタンブールの街は新旧入り混じった都市でモスクやアヤソフィアなどの歴史的建造物の寺院がある世界遺産歴史地域や巨大ショッピングモール、目抜き通りに軒を連ねる繁華街があります。訪れた時期がちょうどイスラム教のラマダンの期間が終わった時でレストランやカフェはどこも行列ができていました。
「ラマダン」とはイスラム教徒が太陽が空にある間、飲まず食わずの断食をすることです。断食明けでイスラム教徒が一斉に食事をとるので、すごい行列でした。そして、ブルーモスクに入った時は初めての「ヒジャブ」体験をしました。女性は髪をスカーフで覆ってから入らないといけないからです。髪を覆っただけでたちまちイスラム教徒に見えたので不思議です。
ひと通り観光したあとに「ドネルケバブ」というトルコ料理の中でもっともポピュラーな料理の一つで薄切りにした牛や羊、鶏の肉を棒状の調理器具に張り付け、回しながら焼いていくお肉を食べました。とてもおいしくてどこに行っても食べていました。「どこに行っても」というのはちょっとお高いレストラン、ショッピングモールの中、街の屋台など、本当にどこででも食べられる料理だったので。
そのあとに知ったのが「キョフテ」です。ラム肉や牛肉のひき肉を使ったトルコ風のハンバーグで香辛料を利かせ、鉄板で焼いたり揚げたり蒸したりして仕上げます。私は焼いたものしか食べたことがないのですが、もうこれに「ハマり」まして。本当に毎日、どこに行っても食べていました。トルコ料理に魅了され、帰国してからも心斎橋や梅田などでトルコ料理のお店を見つけて通ったほどです。
私は海外旅行に行くとたいてい、旅行後半には日本食が恋しくなり、日本料理店を探したりするのですが、トルコでは全くそれがありませんでした。また、イスラム教徒は豚肉を食べないのでスーパーでは、ほとんど見ることはありませんでした。その代わりに日本ではあまり馴染みのない羊の肉が豊富に売られていたのが印象的でした。
トルコは親日国家で人々はとても優しく、幼い息子を抱いてバスや電車に乗ると必ず、男の人達が複数人、立って席を譲ってくれます。急に降り出した雨の中を走っていたら、カフェの店先にいたお店の人が「入っていきなさい」と珈琲を出してくれたこともありました。親日国家だなと実感したのは幼い息子を見た現地の人たちが「ジャポネ!ジャポネ!」と笑顔で声をかけてきたり、「抱っこさせてほしい」と言われたり、「写真を撮らせて欲しい」とみんなに言われて滞在期間中に2歳の息子がトルコ人に慣れていたことです。本人は記憶に全く残っていないそうですが。
新型コロナウィルスや世界情勢が落ち着いたらぜひ、また訪れたい国の一つです。