令和元年がスタートしました。新時代が到来し皆様どのようにお過ごしでしょうか。
令和に入り最初の大きな改正といえば皆様ご存知の10月1日に行われる予定の消費税の増税です。8%から10%への増税に加え、生活必需品など適用される軽減税率の導入が主な改正点となっています。この消費税は平成元年に導入されました。法人税・所得税・相続税が導入されたのが戦前ですから非常に歴史が浅い税法と言えます。
そこで、今年で消費税導入からちょうど30年ですので、今回は平成消費税の歴史を振り返りたいと思います。
消費税はバブル景気真っ只中の平成元年、竹下登政権時代に税率3%で日本に導入されました。
改めて、消費税とは特定の物品やサービスに課税する個別消費税とは異なり、消費に広く公平に負担を求める間接税です。間接税とは税負担者と納税者が異なる税金のことを言います。昭和にも富裕層向けの物品税という贅沢品に課税される法律がありましたが、一般の人に適用される消費税が導入されたのは当時が初めてでした。戦後の高度経済成長期で国民の生活水準が高まり、いったい何が贅沢品なのか曖昧になってしまったため物品税に代わる間接税として消費税が導入されたという背景があります。
この他に日本人の高齢化による社会保障費の増大・所得税の税収減少への対策が主な導入理由とされました。ただ、それまで貴金属、毛皮製品、ゴルフ用品などの贅沢品にしか課税されていなかったのに消費税により食品類や衣類などの生活必需品に対しても課税されるようになったため、富裕層だけでなく一般市民にも税負担がかかってしまい、日本国民に大きな影響を及ぼしました。たしかに、「今まで1万円で出来た買い物に300円上乗せして払わないといけない!」と考えると消費者からすれば結構な負担になりますね。そのため消費税が導入されたのは平成元年の4月1日でしたが、前日の3月31日には大量の駆け込み需要があったそうです。
さらに、消費者だけでなく事業者にも「売上と経費にどれだけ消費税が含まれているか」「そもそもその取引が消費税の課税対象なのか」を判断する必要があり、事務作業の負担増加という批判も相次ぎました。このような事務作業に労力を割けない年商3,000万円(現在は1,000万円)以下の小規模事業者の消費税を免税する制度や、年商2億円(現在は5,000万円)以下の小規模事業者は経費を考慮せずに売上のみで消費税を計算できる「簡易課税制度」が同時に導入されました。(現在もこの2つの制度は存在します。)しかし、このような対抗措置もむなしく、消費税の導入により、当時の竹下政権の支持率は大きく下がり、退陣へと追い込まれました。
その後、平成9年橋本龍太郎政権時代に消費税が税率5%、平成26年野田佳彦政権時代に税率8%へと増税が繰り返されました。特に記憶に新しい5%から8%への増税は17年ぶりの消費税の増税ということもあり、大量の駆け込み需要があり話題になりました。いつの時代も人の考えることは同じですね。今年の増税の時にはどれほどの駆け込み需要があるのでしょうか。
以上の様に時代が進むにつれて消費税の税率は上がっていき、制度も複雑化しています。
新しい令和の時代には消費税がどのような社会の役割を担い、どのように変革していくのか注目していきたいですね。
毎月、職員達が交代でつれづれなるままに綴っております。