空家等対策の推進に関する特別措置法が平成27年2月26日施行されました。この法律の背景には、平成25年10月末の時点での全国の空家数は約820万戸で、家屋7〜8棟に1棟が空家となっている(総務省「2013年住宅・土地統計調査」)。管理が不十分となった空家が、火災の発生や倒壊、衛生状態の悪化、防犯性の低下、景観の悪化など多岐にわたる原因となっていることが問題となっています。
空家といえども個人財産なので、条例などによって所有者に適切な管理の勧告や命令を行うことになるがそれでも適正な管理が行われない場合も多いと言われています。放置されたままでは地域住民の安全が損なわれると判断された場合は地方自治体などの行政機関が所有者に代わって撤去する必要があります(いわゆる行政代執行)。この行政代執行を法的根拠とするために「空家対策特別措置法」が成立したのです。
なぜ空家のまま放置されているかと言うと、建物の取り壊しに多額の費用が発生する。取り壊した後は更地となるので固定資産税が高くなる。などの理由が多いと思われます。
空家対策特別措置法の狙いは、一つは法律で問題のある空家を「特定空家」と定義して、市町村が空家への立入調査を行たり、指導、勧告、命令、行政代執行の措置を取れるように定め、所有者が命令に従わない場合は過料の罰則を設けている。また、登記があいまいで所有者がわからない場合には、固定資産税などの課税のための個人情報を必要な範囲において利用できるようにも定めています。もう一つは活用できる空家の有効活用です。市町村に空家のデータベースを整備し、空家や空家の跡地の活用の促進することを求めています。
空家の定義としては建築物の状況や管理の程度、人の出入り、光熱費の使用状況、所有者の登記や住民票の内容、所有者の主張などから客観的に判断することとされています(特定空家等)。
この特定空家等と判断された場合は「固定資産税等の住宅用地特例」の対象から外れることとされています。これが対象外とされるとその敷地の固定資産が課税標準の1/6〜1/3、都市計画税が1/3〜2/3に軽減される措置がなくなることになります。
相続で名義がそのままになっている田舎の建物や、取り壊しに費用がかかるために放置している建物、売りに出しているが売れない建物がこれに該当することが多いと思われます。資産価値がなくなった、もしくは利用価値がなくなった建物は売却か賃貸する以外は資産ではなく負債になってしまう可能性が高いと思われます。空家を持っている方は財産ではなく負債となる可能性があることを認識することが重要ではないかと思います。
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