代表社員 福田重実

 最近、広島県阿武町で給付金の誤送金のニュースがありました。ご存じの通り新型コロナの国の給付金10万円を町民463人に振込むはずが、一人の口座に4,630万円を二重に振り込んだ件です。一時は、「カジノで全額を使い、返済できない」と言っていたが弁護士等の活躍でほぼ回収できたようです。
 もし本当に使い込んでしまったら、どのようになっていたのでしょう。つまり本年中に返済に応じなかった場合、その者の所得になる可能性があります。個人は暦年で取得した資産の取得方法により、所得を分類して課税されることになります。今回の場合、本来の給付金であれば非課税ですが、遺失物等の取得とすれば一時所得、それに該当しなければ雑所得となります。

一時所得の場合
(4,630万円−50万円)×2分の1=2,290万円が課税される所得

他に所得が無いとした場合
 所得税 621万円 住民税 225万円 
 合計846万円

雑所得の場合
 4,630万円−その所得を得るための経費(今回は無し)=4,630万円
 所得税 1,587万円 住民税 459万円
 合計2,046万円

 誤送金を使い込み、返済に応じなかった場合、これだけの税負担が発生することになります。またこれを申告しなかった場合、20%の無申告加算税が加算されます。更に税金は自己破産しても消滅しませんから、一生支払う必要があります。
一時所得と雑所得の主なものを紹介します。

一時所得
懸賞の賞金品、福引の当選金品、競馬等の払戻金、生命保険の一時金、借家人の立退料等

雑所得
公的年金、生命保険契約の年金、副業的な原稿料、デザイン料、インターネットオークションなどでの個人取引による所得、暗号資産の売却等による所得等

 また、個人が他の個人から金品等を無償又は低額で取得する場合、贈与税が課税されます。一時所得との違いは贈与契約が成立しているかどうかです。例えば遺失物を取得し時効により所得となった場合、贈与契約は成立していませんので一時所得となります。

 贈与時の基礎控除は110万円です。これを上手く活用すれば贈与税、相続税の節税になりますが110万円以下ですと申告をしてない場合、贈与契約が成立しているかどうか分かりません。妻、子供、孫名義で預金をする場合、貰った側が貰ったことを認識していないと単なる名義を借りただけの預金をなってしまう可能性があります。これを防ぐためには贈与契約書を作成するか110万円を超えて贈与税の申告することをお勧めします。