代表社員 福田重実
20歳以上の者は、国民年金に加入する義務があります。現在の保険料は月額16,610円で年間199,320円納付することになります。勿論この保険料は全額所得控除になります。個人自営業の方はコロナ禍の中で売上が激減し保険料を支払う余裕がなくなり未納になっている場合もあります。学生のお子様がいる家庭では、子供が20歳になると国民年金の納付をすることになります。今回は保険料免除制度と納付猶予について紹介したいと思います。(日本年金機構HPより)
保険料免除制度
所得が少なく本人・世帯主・配偶者の前年所得(1月から6月までに申請する場合は前々年所得)が一定額以下の場合や失業した場合など、国民年金保険料を納めることが経済的に困難な場合は、本人から申請書を提出し、申請後に承認されると保険料の納付が免除になります。免除される額は、全額、4分の3、半額、4分の1の4種類があります。
保険料納付猶予制度
20歳から50歳未満の者で、本人・配偶者の前年所得(1月から6月までに申請する場合は前々年所得)が一定額以下の場合には、本人が申請書を提出し、申請後に承認されると保険料の納付が猶予されます。これを納付猶予制度といいます。
※平成28年6月までは30歳未満、平成28年7月以降は50歳未満が納付猶予制度の対象となります。
保険料免除・納付猶予の承認基準(所得の基準)
(1)全額免除
前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円
(2)4分の3免除
前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
88万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
(3)半額免除
前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
(4)4分の1免除
前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
168万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
(5)納付猶予制度
前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円
また、パートさんは扶養の範囲内で働いているので、一人当たり人件費は上がらず、総人件費だけが上昇することに
なるような気がします。総人件費率の上昇に対応する為には、生産性向上が求められてきます。
失業等による特例免除
失業した場合も申請することにより、保険料の納付が免除や、保険料の納付が猶予となる場合があります。
免除・納付猶予申請書を提出の際は、次の書類が必要となります。
雇用保険の被保険者
雇用保険受給資格者証の写しまたは雇用保険被保険者離職票等の写し
事業の廃止(廃業)または休止の届出を行っている方
(1)厚生労働省が実施する総合支援資金貸付の貸付決定通知書の写し及びその申請時の添付書類の写し
(2)履歴事項全部証明書または閉鎖事項全部証明書
(3)税務署等への異動届出書、個人事業の開廃業等届出書または事業廃止届出書の写し
(税務署等の受付印のあるものに限る。)
(4)保健所への廃止届出書の控(受付印のあるものに限る。)
(5)その他、公的機関が交付する証明書等であって失業の事実が確認できる書類
※(2)から(5)までについては、別途、失業の状態にあることの申し立てが必要となります。
申請先
住民登録をしている市(区)役所・町村役場の国民年金担当窓口へ申請書を提出。
なお、郵送で提出可能です。
必要な添付書類
年金手帳または基礎年金番号通知書
雇用保険の被保険者であった方が失業等による申請を行う場合
雇用保険受給資格者証の写しまたは雇用保険被保険者離職票等の写し
事業の廃止(廃業)または休止の届出を行っている方が失業等による申請を行う場合
厚生労働省が実施する総合支援資金貸付の貸付決定通知書の写し及びその申請時の添付書類の写し
(以下については、別途、失業の状態にあることの申し立てが必要となります。)
・履歴事項全部証明書または閉鎖事項全部証明書
・税務署等への異動届出書、個人事業の開廃業等届出書または事業廃止届出書の写し(税務署等の受付印のあるもの。)
・保健所への廃止届出書の控(受付印のあるもの。)
・その他、公的機関が交付する証明書等であって失業の事実が確認できる書類
手続きをするメリット
保険料を免除された期間は、老齢年金を受け取る際に2分の1(国庫負担分)受け取れます。
(手続きをされず未納となった場合、2分の1(国庫負担分)は受け取れません。)
保険料免除・納付猶予を受けた期間中に、ケガや病気で障害や死亡といった不慮の事態が発生
した場合、障害年金や遺族年金を受け取ることができます
未納のままにしておくと…
(1)障害や死亡といった不慮の事態が発生すると、障害基礎年金・遺族基礎年金が受けられない場合があります。
障害の場合は初診日(※)、死亡の場合は死亡日の月の前々月までの被保険者期間のうち、保険料納付済期間
(保険料免除期間を含む)が3分の2未満の場合や初診日または死亡日の月の前々月までの1年間に保険料の未納
がある場合は、障害基礎年金や遺族基礎年金が支給されません。
(※)初診日は、障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日になります。
(2)老齢基礎年金を、将来的に受けられない場合があります。
学生納付特例制度
学生については、申請により在学中の保険料の納付が猶予される「学生納付特例制度」が設けられています。
本人の所得は問いません。
(※1)本年度の所得基準(申請者本人のみ)
128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等
(※2)学生とは、大学(大学院)、短期大学、高等学校、高等専門学校、特別支援学校、専修学校及び各種学校(※3)
一部の海外大学の日本分校(※4)に在学する方で夜間・定時制課程や通信課程の方も含まれますので、
ほとんどの学生の方が対象となります。
(※3)各種学校とは、修業年限が1年以上の課程に在学している方に限ります。
(私立の各種学校については都道府県知事の認可を受けた学校に限られます。)
(※4)海外大学の日本分校
老齢基礎年金との関係
老齢基礎年金を受け取るためには、原則として保険料の納付済期間等が10年以上必要ですが、学生納付特例制度の承認
を受けた期間は、この10年以上という老齢基礎年金の受給資格期間に含まれることとなります。
ただし、老齢基礎年金の額の計算の対象となる期間には含まれません。
(注:満額の老齢基礎年金を受け取るためには、40年の保険料納付済期間が必要です。)
このため、将来、満額の老齢基礎年金を受け取るために、10年間のうちに保険料を納付することができる仕組みと
なっています。
(承認を受けた年度の翌年度から起算して、3年度目以降に保険料を追納する場合には、猶予されていたときの保険料に
一定の加算額が加わります。)
経済的に余裕がある場合は、親が保険料を納付し社会保険料控除するのも節税になります。
障害基礎年金等との関係
障害や死亡といった不慮の事態が生じた場合に、(1)その事故が発生した月の前々月までの被保険者期間のうち保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が3分の2以上ある場合、または(2)その事故が発生した月の前々月までの1年間に保険料の未納がない場合には、障害基礎年金や遺族基礎年金が支給されますが、学生納付特例制度の承認を受けている期間は、保険料納付済期間と同様に当該要件の対象期間になりますので、万が一のときにも安心です。
国民年金は支払っても元が取れないとかコロナの影響で生活が苦しいから免除や納付猶予を受けないで滞納が続くと最終的には、財産を差し押さえられる可能性があります。支払督促等が届く前に上記免除や納付猶予の手続をすることが大事です。