今年の確定申告の特徴は、子ども手当を受給している中学生以下の年少扶養者の扶養控除からの廃止、高校無償化に伴う特定扶養控除の縮小などにより人的所得控除が減少し課税所得が増加し所得税の負担が増加したことが第一に上げられます。特に中学生以下のお子さんがいらっしゃる家庭では、子ども手当が減額される中、今年の6月からの市民税も同様に年少扶養者が控除対象扶養者にならなくなるためその負担は増加します。
住民税の扶養者控除は33万円で税率は10%ですから、年少扶養者1名につき3万3千円の住民税の負担増になります。日本総合研究所作成の資料によれば、年収500万円で小学生が一人いる世帯の場合ネットの受取額はほぼゼロになり、それ以上になるとネットの負担増になるそうです。これでは子ども手当と本来の趣旨から逸脱し、昔の児童手当と扶養控除のほうが良かったような気がします。
第二には、年金収入が400万円以下で年金以外の所得の合計が20万円以下の方の申告不要です。今までは確定申告が必要でしたが、上記該当者で納税額が発生したとしても申告不要になります。ただし、住民税の申告は必要です。また、申告により還付になる方は以前同様に還付申告をすることができます。
第三に寄付金控除及び寄付金の税額控除です。前号でも記載がありましたように寄付金に対する控除の充実が図られ、特に今年から一定の寄付金については、従来の所得控除に代え税額控除が選択適用することになりました。また、災害関連寄付として平成23年3月11日から25年12月31日までの間に支出した震災関連寄付金については、その寄付金の控除限度額が総所得金額の80%(従来の寄付金は当該40%)までできることになりました。
しかし、実務をするにあたって災害関連の寄付について様々な様式の寄付金の控除証明書があり一目でそれが所得控除に該当するのか税額控除ができる寄付金に該当するのか判断をすぐにできるものではありません。特にその控除証明書には「詳しいことは最寄りの税務署もしくは税理士にお聴きください」と書かれていたりします。申告書を作成する立場からはその寄付がどれなのかを一番その証明書で知りたいのですが明記されていないのが残念です。
3月15日が確定申告の期限です。今年も申告期限より1日で間早く皆様の確定申告を完了させるべく、職員一同頑張っています。
代表社員税理士 福田重実
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