代表社員 福田重実

 6月になり定額減税が実施され、給与計算時は事務作業が煩雑になりますね。また、給与明細には定額減税を記載し従業員にその内容を知らせる必要があります。これだけ大変な思いをして対応しても今年限りの作業ですから、もう少し簡便な方法がなかったものかと思ってしまいます。
 最近の給与の支給方法は殆どが銀行振込ですが、昔は現金支給でしたので紙幣を銀行から引き出して給与袋に入れる事務作業が大変でしたね。
 7月3日から新紙幣が発行されます。新紙幣発行は平成16年以来20年振りだそうで、1万円札は福沢諭吉から渋沢栄一、5千円が樋口一葉から津田梅子、1千円が野口英雄から北里柴三郎が描かれることになっています。



新1万円札
渋沢栄一氏(しぶさわ・えいいち、1840〜1931年)
埼玉県深谷市出身の実業家。27歳の時、第15代将軍となった徳川慶喜の実弟徳川昭武に随行し、パリ万国博覧会を見学するほか欧州諸国を訪問しました。明治維新が起こり、欧州から帰国すると、静岡に「商法会所」を設立。その後、明治政府に招かれ、井上馨のもと、大蔵省の官僚として、造幣、戸籍、出納など、さまざまな政策立案を行い、新しい国作りに深く関わります。退官後は実業界に転じ、第一国立銀行(現・みずほ銀行)、東京商法会議所、東京証券取引所などの企業や団体を設立・経営。生涯に約500社の企業に関わったとされ、「日本の資本主義の父」と称されています。


新5千円札
津田梅子氏(つだ・うめこ、1864〜1929年)
東京出身の女子教育家で、女子英学塾(現・津田塾大学)の創設者でもあります。幕末の農学者で、江戸幕府の外国奉行支配通弁(通訳官)を務めていた津田仙、初子夫妻の次女。1871年、6歳の時に日本最初の女子留学生として岩倉遣外使節団と共に渡米。ワシントン近郊のジョージタウンに住むランマン夫妻の元に約11年間滞在し、17歳で帰国。華族女学校教授に就任します。
女性の地位を高めるために自分自身の学校を作りたいと願う梅子は再度留学を決意。1889年、再渡米し、ブリンマー大学で生物学を専攻。1892年に帰国。華族女学校、女子高等師範学校(現・お茶の水女子大学)で教鞭を執った後、1900年、女子英学塾を創設。生涯を通じて、女性の地位向上と女子高等教育に尽力しました。


新千円札
北里柴三郎氏(きたさと・しばさぶろう、1853〜1931年)
熊本県小国町出身で、「近代日本医学の父」と呼ばれる微生物学者・教育者。1871年、18歳で古城医学所兼病院(現・熊本大学医学部)にて、オランダ人軍医マンスフェルトに師事し、医学の道へ。1874年、東京医学校(現・東京大学医学部)入学。在学中に予防医学を生涯の仕事とすることを決意し、卒業後は内務省衛生局に勤務します。1885年からドイツのベルリン大学に留学し、コッホに師事。1889年、世界初の破傷風菌培養に成功し、翌年には破傷風菌抗毒素を発見して世界を驚かせ、さらにそれを応用して血清療法も確立1892年に帰国後、伝染病研究所を創立。1894年には、ペストの原因調査のため香港に赴きペスト菌を発見。その後、慶応大学医学部の創設、日本医師会などの医学団体や病院の設立など、社会活動も積極的に行いました。

新紙幣の発行による経済に影響を及ぼす可能性について
1.景気刺激効果:
 新紙幣の発行は、一時的には人々が新しいお札を手に入れることで、消費意欲が高まり、経済活動が活発化する
 可能性があります。

2.偽造対策:
 新紙幣は偽造防止技術(ホノグラムの採用等)が向上しているため、偽造リスクを低減し、これにより信頼性が
 高まり経済取引が円滑に行われることが期待されます。

3.自動販売機やATMの対応
 新紙幣に対応するため、自動販売機やATMなどの金融機関も徐々に変更されていきます。

4.通貨供給とインフレへの影響
 新紙幣の発行は通貨供給量を増加させるため、インフレ圧力を一部増加させる可能性があります。

日本銀行によると、新紙幣の製造は令和4年から始まり、発行までに約50億枚の新紙幣が備蓄されるそうです。平成16年に新紙幣が発行された時は約2年間かけて旧札と新札が入れ替わったそうです。
ATM・自販機・セルフレジ等の新紙幣対応準備で、銀行や鉄道会社・自販機メーカーをはじめ対応を要する企業は忙しいことでしょう。

新紙幣に変更になっても従来の紙幣も使用できます。旧紙幣が使用できなくなることはありませんので、こう言った類の詐欺にはお気を付けください。新紙幣は銀行窓口で変更できますが、銀行窓口が減少していますので変更のために窓口が混雑する可能性があります。お祝いには新札を使用しますので、両替は必要かもしれませんね。