確定申告時に、ふるさと納税をされている方が年々増えていると実感します。今回は企業版ふるさと納税を紹介します。平成28年度に創設された企業版ふるさと納税は、国が認定した地域再生計画に位置付けられる地方公共団体の地方創生プロジェクトに対して企業が寄附を行った場合に、法人関係税から税額控除する仕組みです。損金算入による軽減効果(寄附額の約3割)と合わせて、令和 2年度税制改正により拡充された税額控除(寄附額の最大6割)により、最大で寄附額の約9割が軽減され、実質的な企業の負担が約1割まで圧縮されます。
【税額軽減(所得控除+税額控除)のイメージ】
ポイント
1.個人版ふるさと納税とは異なり寄付した企業への経済的な見返りは禁止
2.1回あたり10万円からの寄付が可能
3.本社が所在する地方公共団体(都道府県、市町村)への寄付は対象外
4.地方交付税の不交付団体(例東京都等)は対象外
企業のメリット
・企業のCSRにSDGsの貢献 持続可能な開発目標(SDGs)の実現に向けた取組として、地域や自治体がまちづくりで抱える社会課題の解決を通じた取組みを応援できます。また、企業のCSRとしての活動にもつながり企業ブランディングに貢献します。
・自治体との新たな関係構築 通常自治体との関係性は入札を通じたサービスの提供にとどまることが多いです。しかし企業版ふるさと納税という寄附を通じての関係性は入札などで得た受注者・発注者という関係でなく、共に自治体の事業を創りあげるという共創の関係となり、より強固な関係を築くことが可能です。
・自社ビジネスの市場開拓 人口減少が進行する地方における社会課題や生活ニーズの探索を通じて、寄附企業様における社会課題解決型の新事業開発のインプットも期待できます。
自治体のHP等で、企業版ふるさと納税を申し出た企業の紹介等がされるので、寄附を通じて社会貢献に取り組む企業としての PR 及び企業イメージアップが期待されるなど、副次的な効果もあります。この制度は単純に地方公共団体に寄附するのではなく認定された地方創生事業に寄附することになるので事前に企業版ふるさと納税対象事業を検索することが大事です。また青色申告法人が対象で寄附をするにあたって企業自身が特別な認定を受ける必要はありません。ただし、税額控除額には、その年の税額に対する上限割合が決まっているため、所得が少ないと税額控除を満額受けられない可能性があります。先ずは10万円から始めてみるのも一つですね。
このレターは毎月1回、事務所通信とともに関与先さんにお配りしています。
ご意見・ご感想を頂ければ幸いです。