現在、融資を受ける際に、経営者保証をすることが多いと思います。経営者保証とは、中小企業が金融機関から融資を受ける際、経営者個人が会社の連帯保証人となる (保証債務を負う)ことです。つまり、企業が倒産して融資の返済ができなくなった場合は、経営者個人が企業に代わって返済することを求められる(保証債務の履行を求められる)ということです。
経営者保証ガイドラインとは、「中小企業、経営者、金融機関共通の自主的なルール」と位置付けられており、法的な拘束力はないが、関係者が自発的に尊重し、遵守することが期待されている。経営者保証を解除するかどうかの最終的な判断は、金融機関にゆだねられることになります。つまり金融機関が融資を行う際、安易に経営者の個人保証を依存しない融資を図ろうとするものです。
個人保証なしに融資を受けるための3要件がガイドラインで示されています。
@資産の所有やお金のやりとりに関して、法人と経営者が明確に区分・分離されている
法人と社長との間で金銭貸借があり特に役員貸付金や役員借入金が多額である場合、金融機関の借入金が個人に流出している可能性が高くなることから、会社のお金と個人のお金が明確に区別出来ないと判断され、信用がないということになります。
※当事務所では、決算書に書面添付を付けて、その内容を金融機関にも分かりやすく説明できるようにし
ています。
A財務基盤が強化されており、法人のみの資産や収益力で返済が可能である
経営計画書の策定により、売上増・利益率向上のための対策・固定費削減の対策等を実行し、利益で返済が可能な
計画を立てる。
※当事務所では、継続マスシステムの活用により経営計画書策定のお手伝いをしています。
B金融機関に対し、適時適切に財務情報が開示されている
金融機関に決算と同時に決算申告書を提出すると共に、少なくとも4半期毎試算表を提出し情報を開示する。
※当事務所では、TKCモニタリングサービスを利用して申告と同時に金融機関に決算申告書を提供しています。
上記の3つの要件を満たせば事業者は、経営者保証なしで融資を受けられる可能性があり、既に提供している経営者保証を見直すことができる可能性があります。金融機関は、要件の充足度合いに応じて、経営者保証を求めないことや保証機能の代替手法(停止条件付保証契約※等)の活用を検討することになります。
※停止条件付保証契約とは、中小企業が特約条項(定期的な財務情報の提出義務、他の金融機関に対する担保提供の制限
など)に違反しない限り保証債務の効力が発生しない旨の契約
令和2年では経営者保証を提供していない割合は約2割で、殆どが経営者保証をしていることになります。今後上記3つの条件を揃え経営者保証のない融資に切り替えて行きましょう。
このレターは毎月1回、事務所通信とともに関与先さんにお配りしています。
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