代表社員 福田 重実
梅雨の季節になりました。今年はエルニーニョ現象で東日本では冷夏になるのではと予想されています。近畿地方では梅雨なのにまだ雨があまり降っていませんが、たまに豪雨が降ったりして災害や天災には気をつけたいものです。
先日、某地方銀行主催の休日個別税務相談に依頼を受けて相談員として参加してきました。日曜日の午前10時から15時までの5時間で3組の相談がありました。休日ということで相談内容は、サラリーマンや公務員の方で不動産や金融資産をお持ちの資産家の方の相続税や贈与税の相談でした。
全ての方に共通しているのは、
@来年から相続税が増税になる
A自分の相続税が大変そうだ
B相続税を安くしたい
C生前に財産を移転したい
というものでした。
そこで回答として、
@基礎控除が5,000万円から3,000万円に法定相続人一人あたりの控除額が1,000万円から600万円に引き下げられ、課税遺産額3億円超について税率が上がり6億円超については税率が50%から55%に引き上がられたことを説明しました。
A財産を金融資産、不動産、非課税財産及び債務や葬式費用等に分類し課税される財産について説明し、特に死亡生命保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)や死亡退職金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)を説明しそれを活用すべきことを話しました。また簡易に相続税が幾らになるかを説明しました。
B資産家の方は、色々な相続税対策セミナーに参加しておられ特に建築会社系の不動産活用の節税対策に知識はお持ちでした。特に財産に見合う借入金で賃貸用不動産をすれば相続税はかからないとの知識をお持ちでした。しかし、借入金による不動産投資のリスクの説明と投資後期間が経過すると借入金の返済が進み債務控除が少なくなり相続税が発生する可能性の説明をしました。
C贈与税の非課税枠の説明 特に孫や曾孫に対する教育資金の1,500万円までの非課税や贈与税の居住用不動産の配偶者控除(2,000万円)の活用の説明や贈与税の基礎控除110万円を活用して妻や子、孫などに数年かけて贈与すれば財産の移転が可能であることを説明しました。贈与による不動産の移転には贈与税が非課税の枠内で課税されないとしても、名義変更による登録免許税や不動産取得税は課税されることを説明すると意外とご存知なかったりしました。
最後に相続税はできれば払いたくないというのは理解できますが、幾らか相続税が発生しそれを現金で納付するのは原則です。それを相続財産や手持ちの現金で納付できるかを検討し、現金等金融資産で相続し納付が可能であれば慌てる必要はありません。しかし不動産や株式等直ぐに現金化できないもが多い場合は、計画的に価値を引き下げる対策や売却により現金化しておくことが必要であることを説明しました。また、財産分与で争続にならないため生前に法的拘束力のある遺言書の作成をしておく重要性も説明しました。