代表社員 税理士 福田重実

 毎年この時期になりますと、所得税や贈与税の申告書を作成して色々な相談を受けているため、その傾向をうかがうことができます。

平成24年度改正によって実行されているものとしては、平成25年1月から通常の所得税に2.1%の復興特別税が課税され1月の給与から徴収されています。また弁護士等に支払う報酬に係る源泉についても同様に徴収され、1月以降の預金利息や配当金にも復興特別税が課税され手取り額が減少することになっています。

平成25年度税制改正大綱では、相続税の増税が記載されています。基礎控除5,000万円が3,000万円に、相続人一人当たり1,000万円が600万円に引下げられ、最高税率が55%に引き上げられることとされていることから、生前に財産を移転する贈与税の相談及び申告が例年よりも多くなっています。相続税では相続開始前3年以内の相続人に対する贈与は相続財産に持ち戻すことになっているため早い目に贈与を計画されている方が多く見受けられます。
 しかし、相続人以外への贈与は相続税の納税義務者ではないので持ち戻しの必要はなく、孫への贈与を行うように提案したりしています。

また消費税の増税を平成26年4月に控え住宅取得のための資金贈与を行っている方もいらっしゃいます。
今回の税制改正大綱では教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置が上がっています。その内容は、贈与を受ける者(30歳未満)の教育資金に充てるためにその直系尊属(祖父母)から金銭等を拠出し金融機関等に信託した場合にはその拠出された金銭等のうち受贈者1人につき1,500万円までの金額については平成25年4月から平成27年12月31日までの間に拠出されたものに限り贈与税を課さないとするものです。ポイントは、

I. 教育資金とは文部大臣が定める@学校等に支払われる入学金その他の金銭A学校以外の者に支払われる金銭のうち一定のもの。つまり学校に払う入学金、学費や塾代や予備校代がこれに当たると思われます。

II. この適用を受けようとする者は、教育資金非課税申告書(仮称)を金融機関を経由し受贈者の所轄税務署長に提出する。金融機関へ払い込むことが条件。

III. その資金を教育資金の払出しに充当したことを証する書類を金融機関に提出しなければならない。

IV. 終了時、受贈者が30歳に達した場合金融機関はその拠出金と教育資金として払い出した金額を税務署に調書が提出され、その残額については30歳になった日に贈与があったものとして贈与税が課税される。但し受贈者が死亡した場合、贈与税は課税されない。

以上のように手続きが面倒で受贈者が30歳までに使い終わらないと贈与税が課税されることを考えると、贈与時に申告納税が完了するのとは違い将来に課税されるかもしれないリスクもあります。
 
 上記非課税規定はまだ正式に国会で可決されていませんので内容が幾分改訂されることもあるかもしれませんが、今回の消費税の増税と引き換えに増税と非課税等が組み合わされていますので、詳しいことは随時解説させていただきたいと思います。