この度の大阪北部震災や西日本水災害では、多数の方が被災されました。このような災害による損害で、どのような補てんがあるのかをご紹介したいと思います。
T 被災者生活再建支援制度
⑴一定の条件を満たす自然災害による被災
⑵被災者生活再建支援制度の対象となる世帯
⑴の自然災害の発生により
@住宅が全壊した世帯
A住宅が半壊又は受託の敷地に被害が生じ、その住宅をやむを得ず解体した世帯
B災害により危険な状態が継続し、住宅に居住不能な状態が長期間継続している世帯
C住宅が半壊し、大規模な修繕を行わなければ居住することが困難な世帯
⑶支援金の支給額(下記の合計額が支給額となります)
@基礎支援金 … 住宅の被害程度に応じて支給される支援金
全壊・解体・長期避難 ⇒ 100万円
大規模半壊 ⇒ 50万円
A加算支援金 … 住宅の再建方法に応じて支給される支援金
建築・購入 ⇒ 200万円
補修 ⇒ 100万円
賃貸(公営住宅以外)⇒ 50万円
⑷支援金の申請について
受付窓口 各市町村
添付書類 @基礎支援金 罹災証明書、住民票
A加算支援金 契約書
申請期間 @基礎支援金 災害発生日から13ヶ月以内
A加算支援金 災害発生日から37ヶ月以内
U 火災保険
火災保険は、建物と家財に対して契約している場合が多いと思います。
水害の特約に加入してる場合は、通常床上浸水で建物等が損傷した場合に保険金が支払われます。
この場合、@建物や家財のそれぞれの時価の30%以上の損害
A床上浸水又は地盤面から45センチを超える浸水による損害
火災保険に水害や地震の特約が入っているか契約内容を確認し、水害や地震のリスクを考え、
再度規約内容を検討してください。
V 軽減又は免除される所得税
災害によって受けた住宅や家財の損害金額(保険金などにより補てんされる金額を除きます)が、
その時価の2分の1以上で、かつ、災害にあった年の所得金額の合計額が1000万円以下のときにおいて、
その災害による損失額について雑損控除を受けない場合は、災害減免法によりその年の所得税が
次のように軽減されるか又は免除されます。
⑴適用を受けるための手続
災害減免法の適用を受けるためには、確定申告書等に適用を受ける旨、被害の状況及び損害金額を記載して、
納税地の所轄税務署長に確定申告書等を提出することが必要です。
⑵源泉所得税の徴収猶予及び還付
給与所得者や公的年金等の受給者が災害による被害を受けた場合は、一定の手続をすることにより、源泉所得税の
徴収猶予や還付が受けられる場合があります。
災害を受けた給与所得者や公的年金等の受給者の方の災害による損害金額が、住宅又は家財の価額の2分の1以上で、かつ、その年分の所得金額の見積額が1,000万円以下である場合には、所得金額の見積額に応じて、源泉所得税及び復興特別所得税の全部又は一部について徴収猶予や還付を受けることができます。この場合の住宅又は家財とは、自己又はその者と生計を一にする配偶者その他の親族で、その年の総所得金額等が38万円以下である者が、所有する常時起居する住宅又は日常生活に通常必要な家具・什器・衣服・書籍・その他の家庭用動産を言います。別荘や書画・骨とう・娯楽品等で生活に必要な程度を超えるものは含まれません。
また、災害による住宅や家財の損害金額がこれらの価額の2分の1未満、又は、その年の所得金額の合計額が1,000万円を超える場合で、災害による損害金額について雑損控除の適用が受けられると認められるときには、徴収猶予限度額に達するまでの金額について、源泉所得税及び復興特別所得税の徴収猶予を受けることができます。
なお、徴収猶予や還付を受けようとする方は、給与又は公的年金等の支払者を経由して、災害を受けた方の納税地の所轄税務署長(注:還付を受けようとする方は直接納税地の所轄税務署長)に「源泉所得税及び復興特別所得税の徴収猶予・還付申請書」等の書類を提出する必要があります。
(注:支払者の源泉所得税及び復興特別所得税の納税地の所轄税務署長に提出してもかまいません。この場合でも、申請者の名宛人は、災害を受けた方の納税地の所轄税務署長としてください。)
給与所得者が、この源泉所得税及び復興特別所得税の徴収猶予又は還付を受けた場合は、年末調整がされませんので、確定申告により所得税及び復興特別所得税を精算することになります。
以上のように、災害(地震、風水害、火災等)に遭われた方で所得が1000万円以下の方は所得税の免除又は減免の適用を受けることができます。また、雑損控除と災害減免法による所得税の減免の両方の適用を受けることはできませんので、ご注意下さい。
法人の場合は、災害等により被害が発生した場合は特別損失としてその被害額を計上できます。また、所轄税務署に申請した場合申告期限の延長や納税の猶予を受けることができます。
最近は災害が多発していますので、何時災害が起こるか分かりません。説明いたしましたように、行政、保険、税の側面で役に立つものがありますので、知識として覚えておいて下さい。