代表社員 福田 重実
最近のニュースでレオパレス21の施工不良の問題が話題になっています。外壁に耐火性能が低いものが使用されていたり、屋根裏の防火壁が設置されていなかったりしています。
レオパレスは家具付きの賃貸住宅で、単身赴任や大学生の宿舎、短期の現場の宿泊所として多く利用されていましたが、以前から「防音性が低い」などと言われていました。
資産活用として、近年、賃貸経営をされる方が増加しています。資産活用とは、資産に付加価値を付けて収益を得ることです。多くの場合、未利用の土地の活用として賃貸物件を建て収入を得ることになります。また、空家を安く取得して、それを賃貸することも資産活用になります。
資産活用の利点
@投資
低金利時代の為、より確実で利回りの良いものへの投資です。通常6%以上の利回りを目標としています。
A相続税対策
現預金では、その金額が相続税の対象になりますが、不動産活用をすればその評価を下げることが出来るからです。
不動産の相続税評価は、路線価や固定資産税評価額です。これは、時価の8割以下です。これを賃貸すると貸家や貸家建付地となり、更に評価が下がります。貸家の場合、借家権が3割ありますので、貸家の場合は固定資産税評価額の7割になります。
また、貸家が建った土地は貸家建付地となり、借地権割合7割と借家権割合3割を乗じ、路線価等の79%になります。
◆賃貸用土地と建物を各5,000万円、合計1億円で取得した場合
相続税評価は、土地3,950万円 + 建物3,500万円 = 合計7,450万円 となります。
つまり、2,550万円の評価額を下げることになります。
また、賃料が入りますので、現金が増えることになります。
B建物の価額は安い?
自宅を建築した場合、高い買い物なりますが、それは本当に高いのでしょうか?
◆建物の価額が、坪単価70万円とした40坪の自宅(2,800万円)に、夫婦二人で35年居住した場合
2,800万円÷2人÷35年÷365日=1,095円
◆自家用車の価額が300万円として、7年使用した場合
300万円÷1人÷7年÷365日=1,174円
1日の単価では、家の方が安いですね。更に、車は1日の内1時間程度しか利用していないことが多いので、もっと利用価値は低くなります。
金利について
不動産を購入する場合金融機関からの借入で購入する場合が大半です。
例えば35年ローンの場合、変動金利・固定金利・元利均等払・元金均等払があります。
借入金1,000万円 返済期間20年 金利1.5% 固定金利 の場合
◆元金均等
月返済額は、元金41,667円で当初金利12,500円となり、約10年間で元利均等と支払額が同じになります。月の平均返済額が47,942円となり、約119ヶ月で500万円返済になります。また、利息の合計額は1,506、237円となります。
◆元利均等
月額返済額は、48,255円となり、約128ヶ月で500万円返済になります。
利息の合計額は1,581,076円となります。
融資条件が同条件の場合、元金均等の方が金利負担が軽く済みます。変動金利型の場合は、利率の変動で金利負担が大きく変動します。金利は、短期プライムレート(1.475%)に1%加算したものが変動金利の基準(2.475%)とされています。これに金融機関が優遇幅(金融機関の方針で上下されます)で1%程度にしているのです。1996年1月の短プラのレートは1.625%で、20年間ほとんど上昇していませんので、変動金利でも過去20年間の金利は固定金利みたいなものでした。
今後の動向は誰もが予測できませんが、今は金利が最低だと思われます。10年後の金利が今より上がっているかは、日銀の金融政策によるものだと思います。つまり景気が拡大しインフレが進むと金融の引き締めが行われ、市場から金の流通を減らすため金利を上げるようになると思います。但し、消費税の引上げ等により、政策的にすぐには上昇しにくいのではないかと思います。
過去の不動産バブルの時は、総量規制により地価が下落しました。しかし、最近は好景気で、都市の地価は上昇していますが、地方の地価は下落しています。それは少子高齢化と人口が都市に集中しているためだと思います。不動産投資は、現状と将来の賃貸の需給関係と金利を考えて安全確実なものにするようにしなければなりません。不動産の価額はその時の景気の状況及び不動産の場所により上下するので短期所有か長期所有するかで所有利得は変わります。
不動産投資は、賃貸経営により利得を得ることを基本としますので、賃貸収入の確実性と物件の安全性及び管理の簡素化が第一ではないかと思います。また、不動産を所有するだけの遊休資産の場合は、それを売却して収益性のある不動産を取得するか若しくは、現金等で所有して保有コストを抑えるのも資産活用と言えるのではないかと思います。