代表社員 福田重実
先日、銀行の休日税務相談会に相談税理士として参加しました。今年2回目の税務相談会で、時期的なものかもしれませんが、今回は親からの住宅資金の贈与についての相談が多く、贈与を受ける側と贈与する側の双方からの相談でした。今回は住宅取得等資金の贈与税の非課税について、平成28年贈与の紹介をしたいと思います。
(1)期間
住宅取得のための時限措置として、平成24年1月1日から平成31年6月30日まで
(2)贈与を受ける者の要件
平成28年1月1日において20歳以上で贈与を受けた年の合計所得が2,000万円以下の者
(3)贈与をする者
贈与を受ける者の直系尊属(両親、祖父母)
(4)居住要件
贈与を受けた者が居住する住宅の取得に充てるための金銭を取得し、翌年3月15日までに一定の新築等をおこない、同日までに居住したとき(又は同日後、遅滞なく居住することが確実と見込まれているとき)
(5)非課税限度
平成28年1月1日〜29年9月30日
省エネ等住宅 1,200万円
上記以外の住宅 700万円
省エネ等住宅とは・・・
・省エネ等基準〔省エネルギー対策等級(平成27年4月以降は断熱等性能等級4)4相当以上であること
・耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上であること又は免震建築物であること〕に該当する住宅用家屋であること
・一次エネルギー消費量等級4以上に該当する住宅用家屋であること又は高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上に
該当する住宅用家屋であることにつき、一定の書類により証明されたものをいいます。
(6)居住用の家屋及びその増改築等の要件
@居住用の家屋の要件
居住用の家屋とは、次の要件を満たす日本国内にある家屋をいいます。
なお、居住の用に供する家屋が二つ以上ある場合には、贈与を受けた者が主として居住の用に供すると認められる一つの家屋に限ります。
【イ】家屋の登記簿上の床面積(区分所有の場合には、その区分所有する部分の床面積)が50平方メートル以上240平方メートル以下であること。
【ロ】購入する家屋が中古の場合は、次のいずれかの要件を満たす必要があります。
(イ)耐火建築物である家屋の場合は、その家屋の取得の日以前25年以内に建築されたものであること。
(ロ)耐火建築物以外の家屋の場合は、その家屋の取得の日以前20年以内に建築されたものであること。
(ハ)地震に対する安全性に係る基準に適合するものとして、一定の「耐震基準適合証明書」「住宅性能評価書の写し」又は既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約が締結されていることを証する書類により証明されたものであること。
(ニ)(イ)から(ハ)のいずれにも該当しない家屋の場合で、その家屋の取得の日までに同日以降に耐震改修工事を行うことについて所定の手続きをし、かつ、贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その耐震改修によりその住宅用の家屋が耐震基準に適合することとなったことにつき、一定の書類で証明されたものであること。
【ハ】床面積の2分の1以上に相当する部分が専ら居住の用に供されるものであること。
A増改築等の要件
特例の対象となる増改築等とは、贈与を受けた者が日本国内に所有する自己の居住の用に供している家屋について行われる増築・改築・大規模の修繕・大規模の模様替・その他の工事のうち一定のもので、次の要件を満たすものをいいます。
【イ】増改築等の工事に要した費用が100万円以上であること。なお、居住用部分の工事費が全体の工事費の2分の1以上でなければなりません。
【ロ】増改築等後の家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が、専ら居住の用に供されること。
【ハ】増改築等後の家屋の登記簿上の床面積(区分所有の場合には、その区分所有する部分の床面積)が50平方メートル以上240平方メートル以下であること。
【ニ】増改築等に係る工事が、一定の工事に該当することについて、「確認済証の写し」、「検査済証の写し」又は「増改築等工事証明書」などの書類により証明されたものであること。
(7)申告手続き>
贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、@非課税の特例の適用を受ける旨を記載した贈与税の申告書と計算明細書 A戸籍の謄本 B住民票の写し C登記事項証明書 D新築や取得の契約書の写しなど一定の書類を添付して、納税地の所轄税務署に提出する必要があります。
以上のように、要件に該当しますと最大で1,200万円+110万=1,310万の非課税枠を活用することができます。次回は、これとは別枠で活用できる住宅取得資金の相続時精算課税について紹介します。