税理士法人マークス 代表社員 植村祐三
主題の合同会社とは、2006年5月施行された「会社法」によって、従来の有限会社が廃止され1人でも設立できる、新しく出来た、会社形態である有限責任会社です。
現在、株式会社は最低資本金制度がなくなり1円以上で誰でも設立でき、株式会社は信頼性が高く、イメージが良い、と云ったことは、誤解だと世間で認識されて来ました。
この合同会社(Limited Liability Company )は、米国IRS統計資料によれば、アメリカで急速に発展しており、1977年LLCが法人課税から構成員課税(パススルー→会社には課税されず、個人に直接課税される。)が選択出来ることになったため、1993年時点で約2万社から、2000年には72万社に増加し、現在、年20%程度の勢いで増加しているようです。
わが国でも2012年合同会社(LLC)総数は22,000社、年々、株式会社は減少傾向にあり、平成25年1年間の会社設立総数96,470社のうち、株式会社は81,889社、LLCは14,581社が設立されました。この急激な増加は次のようなメリット・特徴があります。
➀従来の有限会社より簡略化され、夢・目的達成の多ために簡単で使い勝手が良く、運用できる自由度の高いのが、LLCという会社組織である。
A上場して資金調達するとか、どうしても株式会社でないといけない場合等、以外の比較的小規模会社・個人の独立・副業・節税の為、とりあえず、会社を設立したいという場合にはLLCが最適である。
B株式会社より、LLCは自力で法務局等へ手続きをすれば、設立手続も簡便、会社印鑑・登録免許税等を含めても15万円程度の費用で設立が出来る。また、維持管理費用も他の会社組織と比べ割安であり、引退後のライフワークとして社会貢献のためにも、専門知識のある人材を取りまとめる為にも、LLCの利用が最適と考えられる。
CLLCは零細・中小・大企業にも簡単に安価で利用でき、子会社・合弁企業・ファンド・新規開業・個人の法人成り・副業(アパート所有のサラリーマン等)・ベンチャー・シニア起業・資産管理・専門家等に利用さている。
DLLCが利用される事業→すぐ始める、アイデアがあれば短期間で設立・行動できる。
個人能力・アイデアを活かす事業→基本的にヒト中心の組織、各出資者(経営参加)が個人の能力を結集した経営ができる。事例:サービス業・インターネット関連事業・小売業・教育業等、大きな資本を要さない業態
共同・異業種関連事業→特異能力・技術・ノウハウ等を持つ人々が連携して新事業をする場合、威力を発揮する。事例:➀企業家同士が共同新事業に取組む。A商店街店舗が連携する。B農家が共同直販・販路拡大する。C専門家(弁護士・税理士・不動産鑑定士等)が連帯する。C不動産業等が情報交換会等で連携する。等々多種多様な活用方法が考えられる。
E特に外資系企業が日本法人をLLCで設立している。例えば、“iPhone”でおなじみのアップル社は、2011年日本法人を株式会社からApple Japan 合同会社に、ウォルマート傘下の西友が合同会社に変更した。
F国内企業でも子・系列会社を作る場合、株式会社よりもLLCを作る方が得策だとして、LLCを選択するケースが増加している。
GLLCは公証人の定款認証が不要であり、内部機関(株主総会・取締役会等)も、他の会社
組織に比べ、簡略されている。
H定款に役員の任期を定めても置かなくてもよく、決算公告の義務もない。また、会社機関も自由に設定でき、利益配分比率も自由に設定でき、事業存続期間も定めることが出来るので、期間限定での事業化計画、環境変化の速い最先端分野で活用されるケースも増えるだろう。
ILLCから株式会社へ組織変更が出来るが、LLCは株式会社へ組織変更が出来ない。
JLLCは、
1人で出資設立する場合
2人以上で出資設立する場合
個人と法人で出資設立する場合等では定款規定内容が異なる。
以下、の個人と法人で設立する場合の“定款”の事例を示しておきます。
合同会社 ベンチャー産業 定 款
第1章 総則
商 号 第1条 当会社は合同会社ベンチャー産業とする
目 的 第2条 1.コンピュータ周辺機器の研究開発・・以下省略
本店所在地 第3条 当会社は本店を・・・大阪市・・・・ ・ 以下省略
公告の方法 第4条 当会社の公告は、官報にしてする。
第2章 社員と出資
出資1口金額 第5条 当会社の出資1口金額は、金5万円とする。
社員住所氏名及出資口数 第6条 社員住所及出資口数は次の通り・・以下省略
社員が有限責任である旨 第7条 当会社社員はその全部を有限責任社員とする。
第3章 業務執行社員
業務執行社員 第8条 当会社業務の執行社員は、次の通りとする。
(業務執行社員を限定する場合) 業務執行社員 山田 太郎
第4章 計算
事業年度 第9条 当会社の事業年度は、毎年・・・・・・以下省略
損益分配 第10条 ・・事業・損益は・・期末現在の社員に分配する。
分配の割合 第11条 損益分配は次の通りとする。1、 社員 住所・・氏名 山田 太郎50%
1、 社員 住所・・氏名 株式会社ベンチャー産業50%
第5章 附則
最初の事業年度 第12条 当社の設立当初の事業年度は当会社成立の・・省略
定款に定のない事項 第13条 この定款に定めのない事項は、すべて会社法その他
の法令によるものとする。
合同会社ベンチャー産業設立のため、この定款を作成し、各社員が次に記名・押印する。
平成26年7月1日・・・以下省略
以上
尚、“LLCの設立・運営ができる本” 五十嵐博著を小冊子(22ページに要約・補足)
にしてあります。
LLCの設立、及び、LLP・一般社団法人・一般財団法人及びNPO(特定非営利活動法人)を含み、取纏めてあり、ご興味があれば担当者までお申し付け下さい。