代表社員 福田 重実
第132号でも国民年金保険料の中で学生納付特例制度についても掲載いたしましたが、今回はより詳しい説明をします。
学生納付特例制度
日本国内に住むすべての人は、20歳になった時から国民年金の被保険者となり、保険料の納付が義務づけられていますが、学生については、申請により在学中の保険料の納付が猶予される「学生納付特例制度」が設けられています。本人の所得が一定以下(※1)の学生(※2)が対象となります。なお、家族の方の所得の多寡は問いません。
(※1)本年度の所得基準(申請者本人のみ)
128万円(令和2年度以前は118万円)+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等
(※2)学生とは、大学(大学院)、短期大学、高等学校、高等専門学校、特別支援学校、専修学校及び各種学校(※3)、一部の海外大学の日本分校(※4)に在学する方で夜間・定時制課程や通信課程の方も含まれますので、
ほとんどの学生の方が対象となります。
(※3)各種学校とは、修業年限が1年以上の課程に在学している方に限ります。
(私立の各種学校については都道府県知事の認可を受けた学校に限られます。)
(※4)海外大学の日本分校
申請時の注意点
申請できる期間
・過去期間は申請書が受理された月から2年1ヶ月前(すでに保険料が納付済の月を除く)まで、将来期間は年度末まで
申請できます。
・ただし、1枚の申請書で申請できるのは、4月から次の年の3月までの12ヶ月間となりますので、必要に応じて年度ごと
に申請書を提出してください。(1年度=4月〜翌年3月)
例:令和3年5月に、平成31年4月から令和4年3月までの期間を申請する場合
@令和元年度分(平成31年4月〜令和2年3月)
A令和2年度分(令和2年4月〜令和3年3月)
B令和3年度分(令和3年4月〜令和4年3月)の3枚の申請書が必要となります。
なお、この例の場合は、平成31年3月以前は時効により申請できません。
※過去期間は2年1ヶ月前まで申請できますが、申請が遅れると障害年金を受け取れないなどの不利益が生じる場合が
ありますので、すみやかに申請をしてください。
添付書類
・在学期間がわかる学生証のコピー(裏面に有効期限、学年、入学年月日の記載がある場合は裏面のコピーを含む)
または在学証明書(原本)
・失業等の理由により申請を行う場合は、失業した事実が確認できる書類
・マイナンバー(個人番号)により申請を行う際は、添付書類が必要になります。
必要な添付書類は、本人控の裏面にある「マイナンバー(個人番号)により申請を行う際の添付書類について」を
ご確認ください。
申請書の提出先
・この申請書の提出先は、住所地の市区役所・町村役場の国民年金担当窓口、または年金事務所
(郵送による提出も可能)です。
・学生納付特例事務法人(在学している教育施設に設置されている場合)へ申請を委託することも
できます。
・3枚目は本人控ですので、お手元に保管してください。
※郵送の場合、受付印のある本人控が必要な方は、2枚目3枚目と一緒に、宛名の記入と所要額の切手を
貼付した返信用封筒を同封してください。受付印を押印の上、「本人控」が返送されます。
申請書提出後の注意点
・審査後に決定通知書を送付されます。決定通知書が届くまでの間は、文書や電話、訪問により保険料の納付の案内が
ある場合があります。
・納付の案内は、日本年金機構から委託された民間事業者が、平日だけでなく、土日や夜間も行っています。
学生納付特例制度を利用した場合、将来老齢基礎年金(いわゆる国民基礎年金)の受給資格期間(最低10年以上)に含まれることになります。しかし老齢基礎年金の額の計算の対象期間には含まれません。満額の老齢基礎年金を受け取るためには、40年の保険料納付済期間が必要です。
学生納付特例期間については、10年以内であれば保険料をさかのぼって納めること(追納)ができます。将来受け取る年金額を増額するためは追納することになります。
追納申請をする場合は、申請用紙を年金機構のホームページからダウンロードし、年金事務所に提出し納付することになります。
では、20歳から22歳まで24ヶ月免除制度を利用した場合の年金受取額について試算してみます。
(令和3年の場合)
加入期間が満額(40年) 支給額 65,075円(月額)×12ヶ月=780,900円(年額) (1)
24ヶ月免除 480月−24ヶ月=456ヶ月
月額 65,075円×456ヶ月÷480ヶ月=61,821円 @
年額 @×12=741,852円 (2)
年間差額 (1)―(2)=38,048円
※試算ですので実際の額とは異なる場合があります。
年間の国民年金保険料は、令和3年では16,610円(月額)年間199,320円です。
現在の国民年金保険料で割ると199,320円×2年分÷38,048円=10.47年で保険料を回収できることになります。
国民年金保険料を支払うと全額所得控除になりますので、最低でも所得税5%住民税10%合計15%(1年分で28,898円)支払った年で節税になります。
年金は納付期間と納付額によって受け取れる年金額も変わりますが、納付が困難な場合は免除制度を活用すべきですが、年金額も減額されることは認識する必要はあります。