代表社員 福田 重実
土地建物の売買や相続・贈与で不動産名義を変更する場合、所有権移転登記をします。今回は、不動産登記について紹介したいと思います。
「不動産登記とは、国民の大切な財産である不動産(土地や建物)の一つ一つについて、どこにあって、どれくらいの広さがあって、どなたが持っているのかといった情報を、法務局の職員(登記官)が専門的な見地から正しいのかを判断した上でコンピュータに記録することをいいます。」法務局HPより
登記簿には1筆の土地、1個の建物ごとに@表題部 A権利部(甲)B権利部(乙)に区分されています。
@表題部
不動産に関する事項が記載されています。
土地・・・所在・地番・地目(土地の現況)・地積(面積)
建物・・・所在・家屋番号・種類・構造・床面積
A権利部(甲区)
所有権に関する事項が記載されています。
所有者に関する事項
所有者の氏名・住所
取得原因(売買・相続・贈与等)
取得時期
仮登記・差押え・仮処分等
B権利部(乙区))
抵当権など所有権以外の権利に関する事項が記載されています。
抵当権設定・地上権設定・地役権設定
この登記をすることによって、不動産に関する情報が公示されることから、国民の権利の保全が図られ、
また不動産登記の取引の安全のためにも役立っています。
その登記簿謄本を確認すると、相続や贈与の場合、次のような事が判明する場合があります。
@名義を以前の相続時に名義変更していない
その当時の遺産分割協議書を作成し、相続登記をして、所有者の名義変更をしなければなりません。
以前にもニュースで記載しましたが、田舎の土地や自宅等は相続登記をせず祖父の名義のままだったりします。
それが売却することになり、慌てて名義変更する必要になった場合、前述のとおり遺産分割協議書を作成しなければ
なりません。その時には相続人を特定する被相続人の原戸謄、相続人の戸籍、印鑑証明が必要になり、数代前に遡る
ことになると相続人が亡くなっていることが多く、代襲相続人の数が増えて大変な労力が必要となります。
A所有者が引越等をしたが住所変更していない
所有者の引越しにより住所が変わっているので、売却や抵当権設定時に旧住所であることが判明し変更登記をする
ことになります。
不動産登記を行う際には登録免許税という税金がかかり、以下の登記の種類によってその税率は異なります。
@建物を新築した場合
住宅用建物を新築した際には、所有権保存登記を行うため不動産価額 × 4/1,000
(不動産価額の0.4%)がかかりますが、令和4年3月31日までは軽減税率の適用で不動産価額 × 1.5/1,000
(不動産価額の0.15%、優良住宅等0.1%)となります。
A不動産を購入・売却・贈与・相続した場合
中古の建物を売買する場合、所有権移転登記を行うため不動産価額 × 20/1,000
(不動産価額の 2%)
相続が行われた際には不動産価額 ×4 /1,000(不動産価額の 0.4%)
遺贈や贈与が行われると不動産価額 × 20/1,000(不動産価額の2%)
土地の売買による所有権移転登記、不動産価額×2/100(不動産価額×2%)
令和5年3月31日までは不動産価額×1.5%
B住宅ローンを組む場合
抵当権の設定を行い、債権金額 × 4/1,000(債権金額の0.4%)令和4年3月31日までは軽減
税率の適用で債権金額 × 1/1,000(債権金額の0.1%)※不動産価額とは固定資産税評価額
C住所変更登記をする場合
不動産の数×1000円
これ以外に司法書士に依頼する場合には、報酬が発生します。
登記簿に記載されている項目を確認し、変更忘れがないか確認しましょう。特に、抵当権の設定をしている場合は、借入金を完済したにもかかわらず抹消していないこともあるかもしれませんので、ご注意ください。