今月は奈良市の針テラス近くで手作り木工家具「工房せお」を営まれている瀬尾大輔氏をご紹介致します。
2005年ならグッドデザイン賞を受賞し、NHKの取材を受けられた瀬尾氏のもとには全国から注文が舞い込みます。しかし、ここまでの道のりは最初から順調であったわけではありません。最初のころは、個展を中心に活動し、チラシを配ったり家具屋での委託販売等を行っていましたが、なかなか売れない状態が続きました。あまりにも売れなくて辞めようと思ったこともあったそうです。
そもそも瀬尾氏は最初から家具作りをされていたわけではありませんでした。
大学を卒業後、1年ほど自動車部品の商社で勤務されていましたが、何かが違うと思い、退職。何もすることがなくふらっと立ち寄った本屋さんで、たまたま目にしたのが木工家具の本でした。木工家具を作り、それを売って生活している方の記事を読んだ瀬尾氏は「自分が好きなことをして生活ができる」という生活に憧れ、すぐに実行に移されました。奈良県立高等技術専門校で1年ほど基礎を学んで、香川にある桜製作所で5年間修業をされました。家具木工に興味がある方で知らない人はいないという程有名な桜製作所で、怒られながら就業を積んでいった経験が、今、活かされています。
現在、作業場ではお客様から発注を受けた座イス5脚とテーブルを製作中でした。
「工房せお」のホームページも作品と同じく瀬尾氏のこだわりが詰まっています。
開業当時に知り合いなどからホームページを作ったらいいとも言われたそうですが、自分の考えや思いをまとめることが出来るまでは作らないと決め、時間をかけてご自身の思いを具現化したものが今のホームページです。最初のフレームワークは業者に作ってもらいましたが、同業者のホームページを見て研究し、写真や動画、ブログもご自分でアップされています。瀬尾氏がお客様に伝えたい事がたっぷり書かれており、木に対するこだわり、真摯さが感じられます。
ホームページで全国から注文が届くようになると、電子メールで写真を送ったり、お客様と事前にやりとりをしますが、中には25回もやり取りを行った方もいるそうです。また、瀬尾氏の作品に惚れ込み、広めたいという考えからでしょう、「もっとこうしたら売れるのでは?」と経営のアドバイスを下さるお客様もいらっしゃるそうです。
販売以外に木工教室にも力を入れておられ、毎週土日開講のプロ養成講座は、現在3期生を募集しています。
以前は作業場で一人黙々と作業を行っていたので1日人と話す機会がなかった日もあり、30分の会話でもとのどが痛くなったそうですが、今ではプロ養成講座で、機械が動いている中、大声で指導をしているので、のどはだいぶ強くなったと笑って答えてくれました。
また今後の経営方針も話をしてくれました。10年後どのようになっていくか。方向性はどのようになるのか。現在はこの思いを実現するための準備中で、近いうちにホームページで告知をするそうです。
2時間の取材では日頃聞くことができないお話しをお伺い出来、大変有意義な時間でした。そして何よりも瀬尾さんの明るい話声が印象的でした。
今後大注目の家具職人さんです。皆さまも是非一度ホームページをご覧下さい。
(担当:望月)
工房せお様HP:http://kagu-syokunin.com/
当事務所が担当させて頂いているお客様のご紹介ページです。
3ヶ月毎にご紹介させて頂きますのでお楽しみに。